千葉県指定 伝統工芸品「上総鳶」 一宮町 伝統工芸

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<上総鳶の始まり>
  一宮町で製作されている「上総とんび」は、大空に輪を描き、急降下しては鰯などの獲物をさらうとんびの名を冠した凧であり、千葉県指定の伝統工芸品である。
(本物は右の写真のようにシールと刻印がされる)

 上総国長柄郡一宮本郷(当地)は鎌倉時代平広常の城下町であり昔から凧上げが行われる風習があった。安永から寛政年間 (1772〜1800年頃)にかけて当地は毎年豊漁が続いていた。
節分頃から地引網漁を始めて直径約1mの大籠に1万杯に達すると豊漁のお礼に「万祝」の装いで守護神である玉前神社に詣でたとされる。このそろい衣装をヒントに考案されたのが「上総とんび」。九十九里の漁村では「万祝」と端午の節句に盛大に揚げられていた。

上総鳶4 寛政3年(1791年)に重右衛門の創設以来約220年の伝統工芸の「上総とんび」を守り続けているのが9代目当主、嵯峨野武氏である。土地の材料を利用し、房州雌竹の骨に和紙をはり、地麻で補強し、音を競うために「うなり」を張る。うなりの材料は鯨の髭をテープ状に熱加工したもの。昔から九十九里浜に鯨が上がると、髭はそっくり嵯峨野家に納入されるのが習わしであった。鯨に頼れなくなった現在では、中国産の唐葦などで代用されている。また、紙も精選された土佐紙を使用しているため、雲に隠れるほど大空に舞い上がり、びしょ濡れになって降りてきても破れることはないと言う。

 


<達磨をしのぐ縁起物>

前述では主に「万祝」のシンボルとして九十九里地域の漁村で揚げられていた縁起物と説明したが、他の場面でも活用されている。5月の端午の節句、子供の誕生、上棟式などの祝い事でも利用されている。当初の頃からの木版を使って現在も刷り続けられているものに「出世鯉生け捕り」がある。これは金太郎が池の主である鯉を陸上に上げて踏んづけたり、抱いたり、威勢良く拳を振り上げているものだ。完成時には、左上の白丸の中に子供の名前が入る。上総鳶3
 
一方で社運隆盛、選挙必勝を願う人たちにも重宝された。特に選挙の場面では、手足の出ないダルマさんより、里見八犬伝の1シーンに出てくる「一刀両断」にならい、一撃でライバルを倒すことから、必勝祈願で嵯峨野氏の下に何人もの大臣が訪れたという。もちろん、購入者は全戦全勝である。
  また、この特徴のある凧の図柄は明治のころ、東京の凧問屋が青森県に売ったため、以後、ねぷたの原図に使用されて現在に至っているものもあると言う。
 

<上総鳶はどのようにしたら手に入るのか?>

上総鳶は小型の量産もの(3,000円〜)を除くと全て完全オーダーメイドとなっている。通常、5月の端午の節句に合わせて、嵯峨野氏の許可を得た上で正月に嵯峨野氏と打ち合わせ、手付金(おおよそ発注代金の半額)を支払い発注、4月に再度、嵯峨野氏のところを訪れ、作品を受け取る。
※最短でも納期が2週間かかるため、注意したいところだ。

  上総鳶2v   上総鳶6  

<連絡先>
千葉県一宮町商工会(TEL:0475-42-3089)に「上総鳶」の発注をしたいので、嵯峨野氏からの連絡がほしいと自分の連絡先を教える。その後は、嵯峨野氏との直接のやり取りとなる。
  嵯峨野氏は現在86歳(2009年5月現在)。
健康上の都合で受けられない場合や納品が遅れる場合もあることを前提の上、余裕を持って対応したいものである。

<購入後には>
  千葉県指定の伝統工芸品である「上総鳶」であるが購入後はどのように飾るのがいいのか? 立てかけておく場合では、北東において、南を向け、天井に飾る場合は、凧の頭が東か南にすると良いとされる。

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